会社の成長に外注は必須?外注の有効活用に関するアンケート調査

更新日:/公開日:2022年01月25日

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外注の有効活用に関するアンケート調査

溝口弘貴
この記事の企画・編集者
溝口弘貴
つなぐマーケティング代表

会社を大きく成長させていく過程で、業務の効率化や人材の確保、人件費やコスト削減など様々な課題が出てきます。

そういった課題を解決する手段のひとつとして「社内業務の外注化」があります。

しかし、外注を上手く活用できていない方や、外注の活用に積極的ではない方も少なくないでしょう。

そこで今回は、直近1年で外部へ業務を発注したことがある会社員または事業主を対象に、外注の有効活用についてアンケート調査を実施しました。

【アンケート調査について】
調査対象:直近1年で外注に携わったことがある会社員または事業主
調査人数:170人
調査日:2022年1月9日~2022年1月20日
調査方法:インターネットによるアンケート調査

回答者の属性
回答者の業種

外注先はどこが多い?「法人orフリーランス」

社内業務を外部へ発注している場合、法人とフリーランス(個人)のどちらかに発注しているか、両方に発注しているケースが考えられます。

最初に、「社内業務をどちらへ発注していますか?」と質問し、「法人、フリーランス、どちらも」の三択で回答してもらいました。

社内業務をどちらへ発注していますか

「法人」と回答した人が66.5%、「フリーランス」が20.6%、「どちらも」が12.9%という結果になりました。

業務を外部に発注する際は、それなりに費用がかかるため、外注先の信用がとても重要になってきます。

個人と比べて法人のほうが信用は高いため、法人への発注が多いですが、「費用が安い」などの理由からフリーランスへ発注する企業も増えてきているようです。

自身のスキルや経験を活かしてフリーランスとして活躍する人が、年々増えてきていることが影響しているかもしれません。

今はインターネットを活用して個人が活躍できる時代ですので、フリーランスに依頼する企業が今後も増えていくと考えています。

どんな業務を依頼している?「Webサイト制作」が最多

次に、「どんな業務を依頼していますか?」と質問し、複数選択形式で回答してもらいました。

業務内容 回答数
Webサイト制作 49
デザイン・グラフィック・イラスト等 33
システム設計・開発、プログラミング 29
その他 26
Webサイトの運用・情報更新業務等 21
経理業務 15
情報収集・調査 15
資料・提案書作成 14
オペレーター業務(電話・メール対応等) 12
文章入力・データ入力・テープ起こし 12
広報・PR 11
バナー・画像制作 9
分析・解析 9
秘書・アシスタント 8
ライティング・校正・校閲 8
アプリ開発 8
翻訳 7
人事・採用業務 6
広告運用 6
動画編集・映像制作 6
マーケティング・集客 6
営業 5
カスタマーサポート 5
SNSアカウントの運用 3
ネーミング・キャッチコピー作成等 1

「Webサイト制作(49回答)」が最も多く、「デザイン・グラフィック・イラスト等(33回答)」「システム設計・開発、プログラミング(29回答)」と続きました。

一般企業では、社内にWeb制作・デザイン・システム開発などの部署がないことも多いため、そういった専門的な業務は外注するようです。

また、「経理業務」「情報収集・調査」「資料・提案書作成」など、自分でやると手間や時間がかかるような業務も外注する傾向がみられました。

外注を利用する目的は「業務の効率化」が最多

外注を利用する目的は企業によって様々です。

「外注を使っている一番の目的はなんですか」と質問し、7つの選択肢から選んでもらいました。

外注を使っている一番の目的はなんですか

外注を利用する目的では「業務の効率化」が50%と最も多く、「慢性的な人材不足の補填」15.3%、「人件費やコスト削減」11.8%、「繁忙期への対応」8.2%、「一時的な業務への対応」8.2%、「優秀な人材確保」4.7%と続きました。

専門的な業務や手間のかかる業務を自分でやろうとすると、余計に時間がかかってしまったり、クオリティも低いものが出来上がってしまったりすることがあります。

外注を上手く活用して業務の効率化を図り、社内の人間は外注コントロールやコア業務に専念するのが、企業にとってよいのかもしれません。

月の外注費は「10万~100万円」が最多

「外注費は月にどれくらい使っていますか」という質問し、10万円以下から1000万円以上の11個の選択肢から回答してもらいました。

月の外注費 割合
10万円以下 27.1%
10万円~100万円 44.1%
100万円~200万円 9.4%
200万円~300万円 7.1%
300万円~400万円 1.2%
400万円~500万円 0.6%
500万円~600万円 1.8%
600万円~700万円 0.6%
700万円~800万円 0.6%
800万円~900万円 1.2%
1000万円以上 6.5%

「10万円~100万円」が44.1%で最多となり、「10万円以下」27.1%、「100万円~200万円」9.4%という結果になりました。

また、「1000万円以上」も6.5%ほどいることがわかりました。

Web制作やシステム開発を企業に依頼すると、数百万円から数千万円ほどかかる場合もよくあります。

そこで、エージェントをとおして高いスキルをもったフリーランスを紹介してもらい、依頼するというのもひとつの手でしょう。

費用を抑えながらクオリティの高いものが作れる可能性もあります。

外注先とトラブルは何が多い?

発注者にとってとても気になるのは、外注先とのトラブルです。

これまでどんなトラブルがあったかを複数選択形式で聞きました。

トラブル内容 回答数
特にトラブルはない 85
クオリティが低かった 41
納期が遅れた 32
指示内容と違った 27
その他 13
態度が悪かった 6
報酬額でもめた 4
支払期限を遅れてしまった 2
契約違反があった 2
情報漏洩した 1
著作権違反があった 1

「特にトラブルはない」という回答が一番多かったものの、「クオリティ」と「納期」に関するトラブルが多い結果となりました。

トラブルの詳細を聞きましたので、いくつかご紹介します。

外注先とのトラブル詳細

  • 分析のクオリティが低く、10万以上の費用が発生したにもかかわらずほとんど役に立たないデータとなってしまったことがある。(40代男性/製造業/クオリティが低かった)
  • クオリティとして社内レベルに達するまでが大変で、逆に手間が掛かってしまった。(30代男性/製造業/クオリティが低かった)
  • システム開発をシステム会社に外注していますが、仕事が遅くなかなか進まずイライラします。普段の保守対応がスムーズだけに余計に残念です。(40代男性/卸売・小売業/納期が遅れた)
  • 初めてフリーランスの方に外注を依頼したとき、一か月という納期を設定していたのに、一か月半くらい引き延ばされてしまった。(20代男性/通信・インターネット業/納期が遅れた)
  • 設計業務やシステム開発を依頼した際、指示内容と内容が違いましたが、言われた仕様で作成したの一点張りで、修正に対応してもらえませんでした。結果、こちら側で急遽設計変更をおこないました。外注発注の目的は業務の軽減化が目的ですが、短期間で大幅な変更を余儀なくされ本末転倒な結果になり、請求も通常通り支払いとなりました。(40代男性/建設業/指示内容と違った)
  • 繁忙期に新商品を販売することになったため、商品画像の編集をお願いした。事前にただ文字を入れるだけの作業はやめてほしい旨伝えてあったが、納品されたものがデザイン性のない文字を入れただけのものだった。(20代男性/卸売・小売業/指示内容と違った)
  • WEBの制作をお願いしたのですが、非常に上から目線で、出来上がったものもこちらの希望のサイトとかけ離れていたためトラブルとなりました。(40代男性/建設業/態度が悪かった・指示内容と違った)
  • 外注先が、当社を飛ばして顧客と話を進めてしまい、当初の契約から逸脱した業務が発生し、保証と責任の問題で、3社間で揉めた。(40代男性/製造業/その他)

外注を活用することで会社の生産性・効率が良くなっていると思いますか?

外注を活用することで会社の生産性・効率が良くなっていると思いますか

外注を活用することで会社の生産性・効率が良くなっているかという質問には、「良くなった」72.9%、「とても良くなった」11.2%で、合わせると84.1%の人が良くなっていると回答しました。

会社が社内業務の外注化を拡大・推進したら賛成しますか?

会社が社内業務の外注化を拡大・推進したら賛成しますか

「会社が社内業務の外注化を拡大・推進したら賛成しますか」という質問には、「はい」と回答した方が80.6%、「いいえ」が19.4%という結果になりました。

社内業務の外注化拡大を望む人が8割いるということがわかりました。

外注に対して感想をご紹介

最後に、外注に対しての感想を自由記入方式で聞きましたので、ご紹介いたします。

法人へ発注している方の感想

  • 外注を使うメリットは、受けられる物件の数が増える事と、作業の簡略化がおこなえます。また、外注先との関係を築く事で、不足した部品の貸し借りなどさせて頂ける場合もあります。デメリットとしては、こちらで全て製作した訳では無いので、チェックはより慎重に行わなければいけない事と、外注先にどこまで責任を持ってやって貰えるのかが曖昧になりがちで、細かなミスを見逃してしまいがちになり、外注先に報告を怠るとそう言ったミスは今後改善していかない。(20代男性/製造業)
  • 外注先には外注先にしかできないからこそのスキルを求めるので、それらを十分に発揮していないのであれば使う意味がない。ただし、結果を見て判断するのは発注元になるので、外注に出したからと言って責任が外注先にばかりあると思い込むのも問題。使う側としての考えもあった上できちんと使えばメリットは得られると思う。(40代女性/通信・インターネット業)
  • 外注に出したとしても、最終的なチェックは自分たちの手で行わなければならないので今のところはそれほどメリットは感じない。規模の大きな企業であればそれを上回るメリットがあると思うが、ウチのような中小零細ではあまり効果的ではないと思っている。(40代男性/サービス業)
  • 外注はコスト削減の手段としてよく使われている認識ですが、その代わりに、社内に業務ノウハウが蓄積されず、会社の力がだんだんなくなっていくのを実感しています。個人的には外注化はほどほどにした方がいいと思っております。(50代男性/サービス業)

フリーランスへ発注している方の感想

  • 中小企業にとっては、専門的な知識・技術が必要な分野を経験のあるフリーランスの方に外注することは大幅な効率化につながると感じています。未経験の社員が集まって会議をしても出てこなかったアイディアや解決策が、会話ベースで解決することもありますし、制作時間も圧倒的に短く、高いクオリティで仕上げてもらえるという点が特にありがたさを感じている点です。(20代女性/卸売・小売業)
  • 会社では主にフリーランスでやっている方へスポット的に業務を依頼することが多いですが、必要なときにすぐに依頼できるため非常に便利でよく活用させてもらっています。特別大きなトラブルはありませんが、顔が見えない分コミュニケーションは密にとる必要性は痛感しています。(30代男性/金融・保険業)
  • 慢性的な人材不足で、できない事は外注に依頼することが多いが、継続的に続く仕事なら社内でできる人材を育てることも重要だと思います。これからは外注と社内の使い分けがポイントになると思います。(40代男性/製造業)
  • 外注に回すことで本社スタッフの無駄業務を減らすことができました。より生産性を高める意味では経費が多少かかったとしても、時間あたりの利益が上がるので外注化を拡大したい。(40代男性/サービス業)
  • 個人の主観が入らない作業であれば効率向上のため外注に賛成ですが、少しでも主観が入る作業や業務は全く会社に関わったことのない人には難しいのではと感じます。(20代女性/通信・インターネット業)

調査結果のまとめ

今回の調査結果で、「業務の効率化」を目的として外注を活用している方が多く、「効率が良くなった」と回答した方が8割以上、外注化拡大を望んでいる人も8割いるということがわかりました。

外注はトラブルやデメリットなどもありつつ、会社の成長に非常に役立っているということがわかります。

外注には費用がかかりますが、社員を採用する採用コストや人件費と比べると、安く済むことのほうが多いのではないでしょうか。

会社を成長させる手段として、外注の活用や拡大を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

溝口弘貴|フリーランスガイド責任者|1983年生まれ。電気工事士からWeb業界に転職して15年以上。現在はフリーランスでWebマーケターをしており、クライアントサイトのマーケティング代行や自社メディアの運用等をおこなっています。
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