フリーランス・個人事業主の屋号の決め方と職業別の屋号例を紹介

更新日:/公開日:2022年11月16日

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フリーランス・個人事業主の屋号の決め方と職業別の屋号例

この記事の企画・編集者
溝口ひろき
つなぐマーケティング代表

フリーランスの方は個人事業主なので、原則として個人の氏名で事業を営むことになります。

しかし、個人名で取引や対外的な交渉を進めようとしても、どんなサービス・商品を提供できるのかが判然としません。

知名度も上がりにくく、信用を得るのも難しいでしょう。

そこで登場するのが「屋号」です。

屋号を決めることで、対外的に事業としてアピールしやすくなるだけでなく、さまざまなメリットが生じます。

フリーランスの屋号について、なぜ決めるべきなのか、どうやって決めるのか、決めるにはどんな手続きが必要なのかなどを解説します。

この記事の監修者

溝口 ひろき

溝口 ひろき

フリーランスガイド責任者

1983年生まれ。電気工事士からWeb業界に転職して15年以上。現在はフリーランスでWebマーケターをしており、クライアントサイトのマーケティング代行や自社メディアの運用等をおこなっています。
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フリーランスが使用できる屋号とは?意味と必要性

屋号とは、個人事業主がビジネスのうえで名乗る名称です。

会社でいう社名にあたるものなので、たとえばカフェを開業して店名を「〇〇カフェ」と名乗っていれば、その「〇〇カフェ」の部分が屋号になると考えておけばよいでしょう。

同じような意味をもつものに「雅号(がごう)」があります。

雅号とは、芸術家などが本名とは別に作家として名乗るもので、芸名やペンネームなどのことを指します。

屋号の4つの必要性

フリーランスとして起業するなら屋号をつけたほうがさまざまなシーンで有利です。

屋号をつけるべき4つの理由を挙げていきます。

1.屋号で銀行口座が作れるから資金管理がしやすい

屋号をつける最大のメリットともいえるのが、屋号で銀行口座を開設できるという点です。

通常、銀行口座は個人の氏名か法人の名称で開設することになります。

フリーランスは法人格を有しないので法人口座を開設できませんが、ほとんどの銀行では屋号付き口座の開設が可能です。

屋号付き口座を使えば、事業の収入・支出をはっきりと切り分けることができるので資金管理が容易になるだけでなく、取引先に口座を指定する際の信用度が高まります。

銀行によって開設の条件が異なるので、まずは最寄りの銀行本支店の窓口で相談してみましょう。

2.本名を出さずに活動できる

個人の事情や都合によっては、本名をできるだけ公開したくないといったケースもあるでしょう。

フリーランスは本名で事業を進めるのが基本ですが、屋号をつけておけば、対外的にはほとんど本名を明かさずに活動できます。

個人の本名を明かして活動していると、個人SNSや自宅といった個人情報まで特定されてしまうかもしれません。

私生活の安全を守るという意味でも、屋号で活動することは大きなメリットになります。

3.何をやっているかが伝わりやすい

事業の内容が伝わりやすい屋号を使えば、どんな事業を展開しているのか、どんなスキルをもっているのかが伝わりやすくなります。

個人名だけだとよほど知名度が高くないと事業内容は伝わらないでしょう。

事業内容に関連する屋号をつけることで、どのようなサービス・商品を提供しているのかが潜在顧客に伝わるチャンスが増えます。

4.他者からの信頼度が高まる

フリーランスとして事業を継続している人のなかには、個人の氏名のまま活動している人も大勢います。

しかし、個人氏名と屋号とでは、対外的な信頼度に大きな差が生じるのは間違いありません。

個人氏名のままで活動していると、事業内容が伝わりにくいために「専門の業者ではないのでは?」という疑念が生じてしまうおそれがあります。

事業内容が伝わりやすい屋号をつけることで、その事業を専門に扱っている業者としての信頼度が高まるので、依頼や契約の獲得につながるでしょう。

屋号を利用する場面

すでに個人氏名で活動しているフリーランスの方なら、わざわざ屋号をつける必要がないように感じるかもしれませんが、ここで挙げるようなシーンでは屋号を利用することになります。

  • 税務署に提出する開業届の作成
  • 銀行での屋号付き口座の開設
  • 名刺の作成
  • 契約書・見積書・請求書・領収書の作成
  • 確定申告書の作成
  • サービスや商品のロゴデザイン
  • 店舗の看板やホームページ など

事業を進めるうえで欠かせない活動ばかりなので、やはり屋号をつけることは重要です。

必ずしも屋号をつける必要はない

屋号を活用するシーンはさまざまですが、屋号がないとフリーランスの人が事業を進められないわけではありません。

屋号をつけなくても事業活動は可能です。

税務署に開業届を提出する際も、確定申告書を作成する際も屋号の欄がありますが、屋号をつけていない場合は空欄のままで提出しても差し支えありません。

すでに個人氏名のままで事業活動を展開しており、とくに必要性を感じていないなら、屋号なしで活動を続けても問題はないでしょう。

屋号の決め方は?決め方のポイントと注意点

屋号は会社の社名と同じで重要な存在です。

単純な思いつきや成り行きで決めるのではなく、その役割や目的を満たすものにする必要があります。

職種や事業内容を表す言葉を使う

屋号を決める際は、職種や事業内容を表すワードを使うといいでしょう。

たとえば、Webデザイナーがフリーランスとして起業した場合は「〇〇デザイン」や「〇〇デザインオフィス」などの言葉が屋号に入っていると、詳しく説明しなくても事業内容が伝わります。

ネット検索から流入する顧客も多いので、事業内容に関連し、検索されやすいキーワードを取り入れるのもおすすめです。

カッコいいけど覚えづらい言葉は避ける

こだわりの屋号を考えていると、どうしてもカッコよさを優先したワードを使いたくなるものです。

屋号には英語・アルファベットも使用可能ですが、一般的な認知度が低い専門用語を使っても「なんの業者だろう?」と敬遠されたり、サービスや商品を探している人に見つけてもらえなかったりするかもしれません。

フリーランスで仕事をするにあたり屋号を決めないと行けないのでフランス語の堪能な方お知恵を貸してください。

「花の道を歩く」の意味でMarchew les fleursでスペルはあっていますか?

日本語カナ表記は「マッシェ レ フロー」ですか?

引用元:Yahoo!知恵袋

屋号を決める際に大切なのは「わかりやすさ」と「シンプルさ」です。

覚えづらいワードを避けるだけでなく、長さ、発音したときの耳なじみの良さ、省略したときの感触などにも注目してみるとよいでしょう。

屋号に使用できない文字(記号)もある

屋号の決め方は基本的に自由ですが、使用できる文字に制限があるので注意が必要です。

  • ひらがな
  • カタカナ
  • 漢字
  • 数字
  • アルファベット
  • 記号

とくに難しい制限ではありませんが、記号は「,(カンマ)」「.(ピリオド)」「‐(ハイフン)」「&(アンド)」「・(ビュレット)」「’(アポストロフィ)」の6種類しか使えません。

屋号につけられない言葉と避けたほうがよい言葉

記号の制限だけでなく、屋号に「使えない言葉」があることも覚えておきましょう。

まず、法人と紛らわしい屋号はつけられません。

フリーランス=個人事業主なので、屋号に「株式会社」「会社」「法人」といった法人・組織を思わせるワードの使用は禁止です。

また、銀行・信用金庫・証券など、法令に基づいて設立される特定の業種と紛らわしい言葉も使えません。

本名で活動していればどこかに同姓同名の個人事業主が存在することもあるので、すでにほかの人が使っている屋号と同じものでも使用可能です。

ただし、他社と同じ会社やグループ・系列の会社だと勘違いされるような屋号は避けたほうがよいでしょう。

同じ業種・業態だと似通った屋号になるのは仕方がありませんが、商標権侵害などで訴えられるリスクを回避するには、できるだけ差別化したほうが安全です。

ネット検索で同一・類似する屋号がないかをリサーチするほか、登記済みの商号なら法務局の「オンライン登記情報検索サービス」でも検索できるので、活用してみましょう。

【職種・業種別】フリーランスの屋号のネーミング例

どんな屋号をつければいいのか迷っている方のために、ネーミングの一例を挙げていきます。

エンジニアの屋号例

フリーランスのWebエンジニアは、次のような屋号を使っている人が多いようです。

  • 〇〇エンジニア・エンジニア〇〇
  • 〇〇システム・〇〇システムズ
  • 〇〇プロジェクト
  • 〇〇ラボ
  • 〇〇工房
  • 〇〇技研
  • 〇〇ソリューション など

技術的な英語・カタカナのワードが好まれる傾向があり似通った屋号になりやすいので「工房」や「技研」といった漢字のワードを織り交ぜて差別化するのもよいでしょう。

デザイナーの屋号例

Webデザイナーの場合は、機械的なイメージではなく、創造的なイメージにつながるワードが好まれる傾向があります。

  • 〇〇デザイン・〇〇デザイン事務所・〇〇デザインオフィス
  • 〇〇ウェブデザイン
  • 〇〇グラフィックス・〇〇グラフィックオフィス
  • スタジオ〇〇・〇〇スタジオ
  • 〇〇クリエイション など

ライターの屋号例

ライターの場合は記事や原稿を「書く」という業務が伝わりやすいワードが好まれます。

また、執筆のほかリサーチや構成作成も可能なら、その点もアピールするワードを使うとよいでしょう。

  • 〇〇ライティング・〇〇ライティング事務所
  • ライター〇〇・〇〇ライターオフィス
  • スタジオ〇〇
  • 〇〇企画 など

執筆業では個人名を前面に押し出すことも多いので「個人名+ワード」というかたちも好まれるようです。

お店などの屋号例

店舗を構える業態なら、次のようなものが定番です。

  • 〇〇屋
  • 〇〇ショップ
  • 〇〇商店
  • 〇〇本舗
  • 〇〇堂
  • 〇〇サロン など

屋号だけだとどんなお店なのかわかりにくいことも多いので、副題的に「~の店」「~専門店」を冠にするのもよいでしょう。

クリニック・事務所などの屋号例

クリニックや専門性の高いサービスを提供している事務所なら、地域性や取り扱い分野を織り交ぜた屋号が好まれる傾向があります。

  • 地域名+クリニック
  • 地域名+診療科目名+クリニック
  • 〇〇事務所
  • 〇〇オフィス

フリーランスが屋号を登録・変更する方法

フリーランスには屋号を登録する義務がありません。

紛らわしさを回避するために使用が禁止されているワードや他社の権利を侵すおそれのあるワードさえ避ければ、基本的にはどんな屋号を名乗っても構わないし、そもそも「屋号をつけない」という選択も可能です。

ただし、フリーランスといえども屋号を会社の社名のように法的な効果をもつものにしたいと考える方も多いでしょう。

屋号に対外的な効果をもたせたいと望むなら、屋号を登録することをおすすめします。

開業届を出す際に屋号を記入するだけ

フリーランスの屋号登録は、税務署に提出する開業届の屋号欄に記入するだけです。

その屋号で認められるのかの審査やほかの手続きはありません。

手数料も0円です。

屋号を法的に認めさせるには商号登記が必要

上記で挙げた屋号の登録は、税務署での登録です。

税務署で登録しただけでは、法的な効力を外部に認めてもらえません。

屋号に法的な効力をもたせるには、法務局で商号登記をする必要があります。

屋号を商号登記すると、法務局で登記されて同一所在地で同一の商号を使えなくなります。

屋号のままだと第三者が同じ屋号を名乗る可能性がありますが、商号登記することでその場所で事業を営んでいる事業主だという法的な証明が得られるという仕組みです。

税務署への届出のみ、あるいは屋号なしのフリーランスと、商号登記済みのフリーランスとでは、第三者からの信用に大きな差があります。

屋号を守るという意味だけでなく、銀行口座の開設や融資審査などでも有利な評価を受けやすくなるので、事業が軌道に乗ったら商号登記を検討するのもよいでしょう。

屋号を変更したいなら確定申告書類に記入すればOK

開業時は屋号を登録していなかったり、年度の途中で事業内容を変えて屋号も変更したといった場合は、次回の確定申告で申告書の屋号欄を書き換えるだけで済みます。

もっとも、いきなり登録・変更すると税務署側のチェックで「誤記入ではないか?」という疑問が生じるので、申告書にその旨を付記しておくと新設でしょう。

ほかにも、別の管轄の税務署へ転居・移転した場合は「納税地の異動に関する届出」が必要ですが、その機会に登録・変更することも可能です。

フリーランスの屋号に関するよくある疑問

フリーランスの屋号は基本的に自由度が高いので、登録・変更などの手続きを含めても、あまり難しく考える必要はありません。

ここでは、フリーランスの屋号について「これってどうなの?」という疑問を解消していきます。

屋号は2つ以上登録することはできますか?

フリーランスとして開業を考えており、業種別で屋号を2つ持ちたいと考えています。

開業届のフォーマットには、屋号1つ分の記入欄しかありませんが、2つ目はどこにどのように記入すれば良いのでしょうか?

引用元:Yahoo!知恵袋

フリーランスの場合、同時に複数の屋号を使っても問題はありません。

事業内容別に異なる屋号を名乗ることができます。

登録は、税務署に別々の開業届を提出するだけです。

たとえば、ホームページ作成を請け負っているフリーランスの人が、同時にコンテンツを執筆するライターとしても業務を請け負っている場合は「〇〇デザイン」と「〇〇ライティング事務所」で開業届を提出することになります。

もっとも、屋号は自由に名乗っても問題がなく、事業内容によって別名義を名乗らなくてはならないという制限もないので、一方の名義だけ登録してもう一方の事業を登録なしで並行しても問題ありません。

屋号を登録するのに費用はかかりますか?

フリーランスが屋号を取得する際
・申請から取得まで何日くらいかかりますか?
・料金はいくらくらいかかりますか?

引用元:Yahoo!知恵袋

税務署への開業届によって屋号を登録する場合、費用は一切かかりません。

そもそも屋号は自由に名乗ることが可能です。

税務署で開業届を提出し、事務処理されるのを待ったうえで初めて使えるというものではないので、開業届の提出前から使っていても問題ありません。

法務局での商号登記の場合は、登録免許税として3万円分の収入印紙が必要です。

申請から実際に登記されるまでの期間は管轄の法務局によって異なりますが、おおむね5日~7日程度で登記が完了します。

各法務局のホームページに「登記完了予定日」が掲載されていますが、書類の不備などがあれば登記が遅れるので注意しましょう。

最後に

フリーランスの方は、個人の氏名ではなく自身で決めた屋号で活動できます。

屋号は会社でいう社名と同じなので、これからその事業で成功を目指したいと志すモチベーションを高めるための象徴的な存在になるでしょう。

屋号で活動すれば、個人の氏名で活動するよりも対外的な信頼度が増すだけでなく、事業内容が伝わりやすくなり、顧客獲得にもつながります。

ただし、あまり凝り過ぎて消費者やクライアントにわかりにくい屋号にするのは禁物です。

どんな屋号が好まれるのかは業種・業態によって異なるので、十分にリサーチしたうえで訴求力の高い屋号をつけましょう。

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