フリーランス・個人事業主の手取り計算方法と年収別の手取り早見表

更新日:/公開日:2023年02月26日

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フリーランス・個人事業主の手取り計算方法

この記事の企画・編集者
溝口ひろき
つなぐマーケティング代表

仕事をして給料や売上などの収入を得ても、その全額がそのまま手元に残るわけではないことは誰でも承知している話でしょう。

たとえば、給与明細を手に同僚や家族と「総支給はこんなにあるのに、いろいろ引かれて『手取り』はたったこれだけだよ」といった会話を交わした経験は誰にでもあるはずです。

会社員の場合は、給与として実際に支払われた金額が手取り額になるので難しく考えることはありませんが、フリーランスとして独立・起業すると手取りは自分で計算しなければ判明しません。

直近の事業展開や生活にかかわる大切な事柄なので、手取り計算は重要です。

フリーランスの収入の仕組みに触れながら、フリーランスの手取り額の計算方法や年収別の手取り額のシミュレーション結果などを紹介します。

この記事の監修者

溝口 ひろき

溝口 ひろき

フリーランスガイド責任者

1983年生まれ。電気工事士からWeb業界に転職して15年以上。現在はフリーランスでWebマーケターをしており、クライアントサイトのマーケティング代行や自社メディアの運用等をおこなっています。
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フリーランスの収入の仕組み

フリーランスは、おもに業務委託契約にもとづいて事業を営む個人事業主という扱いです。

収入の仕組みも会社員とは異なるので、基本的な構造を理解しておきましょう。

売上や報酬が全額支払われる

会社員の給与は、所得税や住民税の源泉徴収、会社を介して加入している社会保険や厚生・共済年金、そのほか給料で清算することになっている社員寮の寮費などが引き去られたうえで支払われます。

いわゆる「天引き」と呼ばれる仕組みです。

一方で、フリーランスの場合は、クライアントが所得税を源泉徴収する場合を除けば、一旦は売上や報酬が全額支払われます。

月単位の売上・報酬額だけに注目すれば大きな金額になることもめずらしくありませんが、その金額がそのまま手元に残るわけではないので単純には喜べません。

売上・報酬から経費が差し引かれる

事業を営むためには「経費」がかかります。

店舗や事務所の賃料、電気・水道・ガスなどの光熱費、商品の仕入れ代金、パソコンなど事務機器の購入、従業員の給料や外注費、広告料、得意先の接待など、月単位でまとめただけでも驚くほどの金額になるでしょう。

当然、これらの経費は売上・報酬から支払うことになります。

売上・報酬の額面が大きくても、経費を差し引くと大きく目減りするはずです。

個人事業主が「経費」として計上できる支出の種類の基本を紹介しながら、経費にできるもの・できないものの違い、確定申告の勘定項目、税金対策などを解説します。

さらに税金・社会保険料が差し引かれた残りが「手取り」

売上・報酬から経費を差し引いただけでは、実際に手元に残る金額にはなりません。

さらに所得税・住民税・国民健康保険などの社会保険料を差し引いた残りが、実際の「手取り」です。

フリーランスはこれらの各種税金を自分で申告して納めなければならないので、売上・報酬から経費を差し引いた金額を自由に使っていると納税のタイミングで苦しい状況に陥ってしまいます。

フリーランスの手取り額を算出する計算式

フリーランスの手取り額を算出する基本的な考え方は、月収・年収ともに同じです。

フリーランスの手取り=売上・報酬の総額-経費-税金・社会保険料

年収の場合は年間の売上・報酬の総額から経費の増額を差し引き、さらに各種税金や社会保険料の年額を差し引くことで算出できます。

フリーランスは月単位で業務量や収入額が大きく変動するので、月別の収支を詳しく計算したい場合を除けば、月ごとの手取り額は年間の手取り額÷12か月で算出するのが基本です。

個人事業主が納めるべき税金の種類や税額のシミュレーション、納税が免除されるケースや条件、個人事業主が知っておきたい節税術を紹介します。

クライアントから手取り金額での請求書を依頼された場合は?

もし、クライアントから「手取り金額で請求書を作ってほしい」と求められた場合は、消費税額を加味して計算する必要があります。

クライアント側では、消費税の二重課税を避けるために「消費税の仕入れ額控除」という処理がおこなわれるので、請求額全体のうち消費税が占める金額を明らかにしておかなければなりません。

(A)手取り額÷0.909=消費税抜き金額
(B)消費税抜き金額×0.1=消費税額
(A)+(B)=請求額

さらに、クライアント側で源泉徴収をする場合は、所得税の源泉徴収額も加味する必要があります。

(A)手取り額÷0.909=消費税抜き金額
(B)消費税抜き金額×0.1=消費税額
(C)消費税抜き金額が100万円以下の場合はA×10.21、100万円以上の場合はA×20.42=源泉徴収額
(A)+(B)ー(C)=請求額

これらの計算式を用いて自分で計算しても問題はありませんが、計算間違いを起こしてしまうおそれは否定できません。

「Misoca」など無料で使える請求書作成ソフトを使えば、消費税抜き・込みや源泉徴収の有無別で簡単に請求書を作成できるので、便利なツールを駆使したほうが安全です。

フリーランスの手取りはいくら?年収別の手取り早見表

フリーランス協会が公表しているフリーランス白書2022によると、フリーランスの収入額は次のとおりです。

フリーランスの収入額

引用元:フリーランス白書2022|フリーランス協会

最も多いのが200万~400万円、次いで多いが200万円未満、その次が400万~600万円という結果になっています。

この統計に照らして、売上・報酬の総額が200万円・300万円・400万円・500万円・600万円を想定してそれぞれ手取りをシミュレーションしてみましょう。

なお、収入額に応じて経費も大きくなるのが一般的ですが、本シミュレーションにおいて経費は収入の10%としています。

また、世帯の構成も税額や社会保険料に大きく影響しますが、ここではフリーランスとして働く本人+配偶者の2人世帯として計算しました。

確定申告の方法が白色申告と青色申告とでも大きな差が生じるので、比較のために両方のケースでシミュレーションしています。

実際には業種によって経費の大小や家族構成も異なるので、あくまでも参考値としてください。

年収200万円の手取り

白色申告青色申告
年収2,000,000円2,000,000円
経費200,000円200,000円
所得税25,000円0円
住民税65,100円6,200円
国民健康保険料239,800円178,500円
国民年金199,080円199,080円
手取り1,271,020円1,416,220円

年収200万円では、白色申告で手取りが約127万円、青色申告でも約141万円です。

これを12か月で割ると白色申告で約10万円、青色申告で約12万円となるので、月々の生活はかなり苦しいものになるでしょう。

年収300万円の手取り

白色申告青色申告
年収3,000,000円3,000,000円
経費300,000円300,000円
所得税65,800円36,300円
住民税146,600円87,700円
国民健康保険料324,800円263,400円
国民年金199,080円199,080円
手取り1,963,720円2,113,520円

年収300万円の年間手取り額は、白色申告で約190万円、青色申告で約210万円です。

月々に換算すると白色申告なら約16万円、青色申告なら約18万円となります。

年収400万円の手取り

年収400万円からは課税所得額が290万円を超えるので、対象業種では個人事業税の課税が加わります。

個人事業税が課税される対象は3区分・70業種です。

なお、プログラマー・エンジニア・ライターなどは70業種に含まれないので、個人事業税は課税されません。

白色申告青色申告
年収4,000,000円4,000,000円
経費400,000円400,000円
所得税115,600円77,100円
個人事業税35,000円35,000円
住民税228,100円169,200円
国民健康保険料409,700円348,400円
国民年金199,080円199,080円
手取り2,612,520円2,771,220円

年収400万円だと、年間の手取り額は白色申告で約260万円、青色申告では約270万円です。

月収にすると白色申告で約21万円、青色申告で約22万円となるので、月々の手取り20万円を目指すなら年収400万円がボーダーラインになります。

年収500万円の手取り

白色申告青色申告
年収5,000,000円5,000,000円
経費500,000円500,000円
所得税197,100円138,200円
個人事業税80,000円80,000円
住民税309,600円250,700円
国民健康保険料494,700円433,300円
国民年金199,080円199,080円
手取り3,219,520円3,398,720円

年収500万円の年間手取り額は、白色申告で約320万円、青色申告で約340万円です。

月々の手取り額は白色申告で約26万円、青色申告で約28万円になります。

このラインに達すれば、事業にも生活にも少し余裕が生まれてくるはずです。

年収600万円の手取り

白色申告青色申告
年収6,000,000円6,000,000円
経費600,000円600,000円
所得税324,700円219,700円
個人事業税125,000円125,000円
住民税391,100円332,200円
国民健康保険料579,700円518,300円
国民年金199,080円199,080円
手取り3,780,420円4,005,720円

年収600万円に達すると、年間の手取り額は白色申告で約380万円、青色申告なら約400万円です。

月収で換算すると白色申告で約31万円、青色申告では約33万円となり、月々の手取り額が30万円を超えます。

フリーランスが手取りを増やすために心がけたいポイント

ここまでのシミュレーション結果を見ればわかるとおり、フリーランスは経費や税金だけでなく国民健康保険や国民年金の負担が大きいので、手取りが少なくなる傾向があります。

売上・報酬を増やしても税額がはねあがるので、思ったように増収できません。

フリーランスとして働く人が手取りを増やすためにはどうすればいいのでしょうか?

「青色申告」する

税務署に青色申告事業者として「青色申告承認申請書」を提出すると、確定申告の種類が青色申告になります。

最大で65万円の特別控除が受けられたり、仕事を手伝ってくれている家族に支払う給与を青色事業専従者給与として計上できたりするなど、青色申告の節税効果は絶大です。

先に紹介したシミュレーション結果に照らすと、年収500万円の場合、青色申告を選択すれば白色申告と比べて年間の手取り額が179,200円増えます。

月額にすると約15,000円も手取りが増える計算です。

青色申告をするには、日々の会計を正式な簿記で記録し、申告の際には損益計算書・貸借対照表を作成しなければなりません。

難しく感じるかもしれませんが、青色申告をサポートするサービスや会計ソフトが充実しているので、さほど難しい点はないでしょう。

なお、青色申告の対象となるのは事業所得・不動産所得・山林所得の3つだけです。

フリーランスの職業は基本的に事業所得となりますが、たとえば専業Webライターのように執筆料・原稿料としての報酬しか収入がない場合は雑所得となるので、青色申告の対象外となります。

フリーランスの方が「青色申告」で得られるメリットや必要な準備などを解説します。

漏れなく経費として計上し所得額を抑える

手取りを増やすには、事業活動に関する支出を漏れなく経費として計上し、所得額を抑えて税額や保険料を抑える心構えが大切です。

当然、経費として計上できるのは実際に事業に関連して売上や報酬を得るために支出したものに限られますが、見落としている支出があるかもしれません。

たとえば自宅の一室を仕事場にしているフリーランスなら、家賃や光熱費、通信費といった家計から支出しているものの一部を「家事按分」によって経費に計上できます。

経費として認められる支出を漏れなく計上して、手取りアップにつなげましょう。

個人事業主が「経費」として計上できる支出の種類の基本を紹介しながら、経費にできるもの・できないものの違い、確定申告の勘定項目、税金対策などを解説します。

利用できる控除はすべて利用する

節税のためにもうひとつ覚えておきたいのが「控除」です。

売上・報酬から各種の控除を差し引けば所得が抑えられるので、税額・保険料が安くなり、手取りが増えます。

38万円の基礎控除のほか、配偶者控除、扶養控除、年間10万円を超えた部分の医療費負担を軽減する医療費控除、生命保険や個人年金などの支出負担を軽減する生命保険料控除、ふるさと納税などに適用される寄附金控除などさまざまな控除があるので、どのような控除があるのかをしっかり学んでおきましょう。

国民健康保険の保険料を安く抑える

シミュレーション結果からもわかるとおり、フリーランスにとってはどの収入帯でも国民健康保険の負担が非常に大きくなります。

国民健康保険料は「保険料」と呼ばれていますが、実は国民健康保険税という「税」のひとつです。

所得税や住民税と同じで、所得額が大きくなるほど税額も高くなります。

国民健康保険の保険料が高額になっているなら、業界団体などの「国民健康保険組合」に加入することで負担の軽減が可能です。

たとえば文芸美術国民健康保険組合では、収入額にかかわらず月額は組合員1人が21,100円、家族1人につき11,600円で加入できます。

2人世帯だと32,700円の負担なので、シミュレーションだと年収400万円あたりを基準に国民健康保険組合のほうが安くなる計算です。

保険料は一律なので、収入額が大きくなるほどそのメリットは大きくなります。

フリーランスと健康保険の関係や加入できる健康保険の種類、健康保険料を安く抑えるポイントなどを解説します。

新たなスキルを習得してキャリアアップを目指す

手取りを増やすには節税や節約が大切ですが、当然、収入を増やすことも無視できません。

フリーランスはスキル・実績を買われてこそさらにキャリアアップが可能になる立場です。

新たなスキルの習得や現在のスキルをさらに磨くことで、新規案件の取得や単価アップにつながり、増収が期待できます。

増収を目指しながら節税・節約に努めることが手取りアップのコツです。

最後に

フリーランスの手取りは、売上や報酬から経費・税金・社会保険料を差し引いて計算します。

年収額に応じたシミュレーション結果をみると、差し引かれる金額が大きいため手取り額は少なくなりがちですが、漏れのない経費計上や控除の適用などによって節税に努めれば、手取り額のアップが期待できるでしょう。

もちろん、手取り額をアップさせるためには、業務に必要なスキルを磨いて積極的に案件を取得し、売上や報酬もアップさせていかなければなりません。

増収+節税・節約を尽くして、手取りアップを目指しましょう。

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