フリーランスが青色申告をするメリットとは?やり方やおすすめの会計ソフトを紹介

更新日:/公開日:2022年12月18日

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フリーランスが青色申告をするメリットとは?やり方やおすすめの会計ソフトを紹介

この記事の企画・編集者
溝口ひろき
つなぐマーケティング代表

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。

この点は、ある程度の事業規模を想定して会社を起こしても、コンパクトな個人事業でも同じです。

どちらを選択するのも自由ですが、節税効果を高めて手元に残るお金を少しでも増やしたいと考えるフリーランスの方には青色申告をおすすめします。

申告に向けた準備や日ごろの手間は増えますが、青色申告をサポートしてくれる会計ソフトも充実しているので、心配するほど難しいものではありません。

フリーランスの方が「青色申告」で得られるメリットや必要な準備などを解説していきましょう。

この記事の監修者

溝口 ひろき

溝口 ひろき

フリーランスガイド責任者

1983年生まれ。電気工事士からWeb業界に転職して15年以上。現在はフリーランスでWebマーケターをしており、クライアントサイトのマーケティング代行や自社メディアの運用等をおこなっています。
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フリーランスが知っておくべき青色申告とは?白色申告との違い

青色申告とは、事前に税務署長の承認を受けたうえで、毎日の取引を法律で定められた帳簿に正規の簿記または簡易簿記で記帳し、その記録にもとづいて確定申告をする制度です。

もともとは確定申告の用紙が青色だったためこのような名称で呼ばれており、所得税の申告用紙が青色ではなくなった現在でも青色申告と呼ばれています。

確定申告の方法には青色申告と白色申告の2種類がありますが、正しい納税を促すために政府が推奨しているのは青色申告です。

とはいえ、白色申告のほうが日常の手間が少ないので、青色申告を選択する納税者を増やすために、各種の優遇措置を設けています。

青色申告と白色申告の違い

確定申告の方法には青色申告と白色申告があります。

青色申告と白色申告の違いを「方法」の面でみると、白色申告の場合は帳簿の保存や簿記にもとづいた記帳の義務が緩やかです。

白色申告の記帳方法は「単式簿記」といい、収支のみを記録すればよいので難しい簿記の知識は必要ありません。

一方、青色申告の記帳方法は「複式簿記」で、複数の科目で記録しながら財政状態の変化を明確にするというやや複雑なものです。

また、青色申告の場合は、ほとんどの帳簿・書類の保存期間が7年ですが、白色申告では5年だけ保存すればよいものが多いという点も大きな違いだといえるでしょう。

日常の仕事だけでなく、会計のことまですべて自分でやっているというフリーランスの方だと「帳簿の作成・保存は面倒なので白色申告のほうがいい」と考えてしまうかもしれません。

一方で、両者の違いを「節税」の面でみると、青色申告を選択すれば白色申告にはない優遇措置が受けられます。

この点は、複雑な方法で帳簿を記帳し、証拠となる帳簿・書類の保存期間も長い青色申告を選択した納税者だけに与えらえれる大きなメリットです。

青色申告ができる所得とできない所得

大きな節税効果が期待できる青色申告ですが、実は誰でも選択できるわけではありません。

青色申告ができる所得は限られています。

青色申告できる所得とできない所得の書類を確認していきましょう。

青色申告ができる所得の種類

所得の種類内容
事業所得小売業・卸売業・製造業・サービス業・農業・漁業など、幅広い事業から得られる所得です。
フリーランスのプログラマーやデザイナーなどに支払われる報酬も事業所得に含まれます。
不動産所得土地・建物などの不動産から生じる賃料・管理費・共益費・礼金・更新料などから生じる所得です。
主に不動産のオーナー・大家が対象となります。
山林所得山林を伐採して譲渡、または立ち木のままで譲渡した場合に生じた所得です。
山林を取得して5年以内に伐採・譲渡した場合は事業所得か雑所得となり、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は譲渡所得として扱われます。

青色申告ができない所得の種類

所得の種類内容
給与所得正規・非正規にかかわらず、勤務先から支払われる給料や賞与による所得です。
給与所得者は毎月の給料や賞与から源泉徴収されて企業側が納税するので、確定申告の必要がありません。
退職所得会社などを退職した際に支払われる退職金・退職手当、退職に伴い厚生年金や共済から脱退することで支払われる一時金などによって生じた所得です。
ほとんどの場合、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで源泉徴収されるので、確定申告の必要はありません。
ただし、申告書を提出しない場合や、医療費控除・寄附金控除を受ける場合は白色申告が必要です。
譲渡所得土地・建物・株式・ゴルフ会員権などの資産を譲渡することで生じた所得です。
収入額から取得費・譲渡費用・特別控除額を差し引いた利益の部分が所得となります。
ほかの所得と合計しない分離課税制度が採用されており、申告書も青色・白色とは異なる「分離課税用」を使用します。
利子所得預貯金・公社債による利子、運用投資信託の分配収益によって生じた所得です。
原則として支払いを受ける時点で源泉徴収されるうえに、源泉徴収で納税が完結する「源泉分離課税」の対象なので確定申告できません。
配当所得株主や出資者が法人から受ける余剰金や利益の配当・余剰金の分配・基金利息・投資法人からの金銭の分配、投資信託・特定受益証券発行信託の収益の分配などによって生じた所得です。
原則として確定申告の対象ですが、少額であったり、上場株式等の配当であったりする場合は確定申告を要しません。
一時所得営利を目的とした継続的な行為が生じた所得ではない所得です。
懸賞や福引の賞金・競馬や競輪の払戻金・生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などが該当します。
フリーランスの方だと小規模企業共済の解約金は退職所得ではなく一時所得になるので要注意です。
雑所得上記のいずれにも該当しない所得です。
公的年金・非営業用貸金の利子・副業にかかる所得などが該当します。
フリーランスのライターに支払われる原稿料は原則として雑所得扱いです。

青色申告の申請期限

確定申告で青色申告を選択するためには、事前に税務署長の承認を受ける必要があります。

税務署への申請期限は、青色申告をしようとしている年の3月15日までです。

1月1日から1月15日までに開業する場合の期限は3月15日ですが、例外として1月16日以降に開業した場合は事業開始の日から2か月以内が期限となります。

なお、確定申告書の提出期限に青色・白色の区別はありません。

フリーランスが青色申告をする5つのメリット

青色申告を選択すると、帳簿の記帳や書類の保存の手間は増えてしまいますが、それに見合う以上のメリットが得られます。

青色申告特別控除(最大65万円)がある

青色申告を選択する最大のメリットが「青色申告特別控除」の適用を受けられるという点です。

事業所得・事業規模の不動産所得の場合は55万円、事業規模に満たない不動産所得・山林所得の場合は10万円が控除され、さらにe-Taxによる電子申告を利用すると追加で10万円が控除されます。

控除額は最大で65万円です。

65万円の特別控除が実際の税額にどのくらい影響するのかは所得額次第ですが、一例として、総収入500万円・経費と各種控除の合計が200万円=総所得300万円だった場合は所得税額が6~7万円ほど低くなります。

事業利益が赤字だった場合に繰越しができる

青色申告を選択した場合、事業所得の赤字を翌年度から3年間にわたって繰越しできます。

とくにフリーランスの事業は黒字続きの保障がないので、この制度の存在も大きなメリットになるでしょう。

たとえば、今年度の総収入から経費などを差し引くと100万円の赤字が発生したとします。

白色申告だと今年度の税額が0円になるだけですが、青色申告の場合は翌年以降に赤字分の100万円を繰り越せるので、翌年の黒字から100万円を差し引くことが可能です。

30万円未満の資産の購入費は一括経費計上できる

通常、10万円以上の設備や器具備品は「減価償却資産」となるため、法令で定められた耐用年数に応じ数年に分散して経費計上するのが決まりです。

ただし、青色申告の場合は、30万円未満の資産に限り、購入などにかかった取得費用を一年で一括計上できます。

パソコン・カメラなどの機材は10~30万円の価格帯が設定されていることが多いので、とくにWeb関係のフリーランスの方にとっては節税効果が高い制度だといえるでしょう。

なお、この制度を利用できる上限は年間で300万円までです。

条件を満たせば親族への給与も経費にできる

事業を家族や親族に手伝ってもらっている場合は、家族・親族に支払った給与を経費として計上できるという点も大きなメリットです。

この制度は「青色事業専従者給与」と呼ばれています。

青色事業専従者給与として認められるには、次の条件を満たさなければなりません。

  • 事業開始日や専従者がいることになった日から2か月以内に税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していること
  • 申告者と生計をともにしている配偶者などの親族であること
  • その年の12月31日現在の年齢が15歳以上であること
  • その年を通じて6か月を超える期間にわたり、申告者の営む事業に専従していること

なお、白色申告でも家族・親族へ支払った給与を経費に計上できますが、配偶者で最大86万円、そのほかの家族・親族では一人あたり最大50万円が上限です。

青色申告では上限の定めがないので、家族・親族に支払った全額を経費として計上できます。

債権(売掛金・未収金)を貸倒引当金として経費計上できる

未払いの売掛金があり、未回収が発生するおそれがある場合は、年末における未回収額の合計額の5.5%以下を「貸倒引当金」として経費に算入できます。

クライアントの経営状況によっては未回収が発生するリスクもあるので、とくにフリーランスの方は覚えておくとよいでしょう。

なお、未払いだった売掛金を回収できた場合は、貸倒引当金の戻入の処理が必要です。

フリーランスが青色申告をするために必要な書類と手続きの流れ

さまざまな優遇措置が設けられていることを考えれば、青色申告を選択するメリットは十分です。

ただし、思いついたように「今年から青色申告にしよう!」と白色申告から青色申告に切り替えられるわけではありません。

フリーランスの方が青色申告をするために必要な手続きの流れを確認しましょう。

事前に各種届出をしておくこと

青色申告を選択するためには、事前に税務署長の承認を受ける必要があります。

承認を受けるために必要な書類は「青色申告承認申請書」で、青色申告をする年の3月15日が提出期限です。

ただし、青色申告を受けるには税務署への開業届や事業開始等申告書の提出が必要となります。

もしこれから起業しようと考えているなら、開業届などを提出する機会とあわせて青色申告の承認を申請するとスムーズです。

日々、複式簿記をつけておく

青色申告をするためには「複式簿記」にもとづく帳簿への記帳が必要です。

日々の収支を勘定科目に従って仕訳ける方法で、簿記の経験がないと少し難しく感じるかもしれませんが、あとでまとめて整理するのは大変なので、できる限り毎日処理するように心がけましょう。

複式簿記が難しく感じる方でも、青色申告をサポートする会計ソフトを活用すればさほど苦労しないはずです。

青色申告決算書を作成する

当年の事業を終えて一年分の帳簿が完成したら「青色申告決算書」を作成します。

青色申告決算書は「損益計算書」と「賃借対照表」の2部構成です。

損益計算書はその期間における収支の内訳を示すことで売上高や利益の推移を明らかにするもの、賃借対照表は決算時点での財務状況を示す役割をもっています。

やはり会計の知識がないと最初のうちは作成に悩んでしまうので、必要な数字を入力するだけで自動作成してくれる会計ソフトの力を借りたほうがよいでしょう。

確定申告書Bを作成する

確定申告の用紙には「A様式」と「B様式」があり、フリーランスの方が青色申告をする場合は「確定申告書B」を使います。

用紙は税務署の窓口で配布されているほか、国税庁のサイトでダウンロードしたり、毎年書面を提出して確定申告している場合は税務署から郵送されたりしますが、会計ソフトを使えば自動作成されるので難しく考える必要はありません。

青色申告に必要な書類を税務署に提出する

確定申告書Bと青色申告決算書が完成したら、確定申告の受付が始まる2月16日から提出期限の3月15日までに税務署へ提出します。

税務署の窓口での直接提出、夜間収受箱への投函、郵送、e-Taxを利用した電子申告のいずれかを選択しますが、青色申告のメリットを最大限に活かすためには青色申告特別控除として10万円が追加される電子申告がおすすめです。

e-Taxを利用した電子申告には、マイナンバーカードやカードリーダライターの用意が必要になります。

住所変更などマイナンバーカードの情報に変更があると電子証明書の内容にも変更が生じるので、かならず事前に役所で変更の手続きを済ませておきましょう。

フリーランスが青色申告をするのに役立つ会計ソフト3選

青色申告をするためには、簿記・会計の知識が必要です。

この点に不安を感じて青色申告を選択できないフリーランスの方も少なくないようですが、青色申告をサポートしてくれる会計ソフトを活用すれば難しいことではありません。

フリーランスの青色申告に役立つ会計ソフト3選を紹介します。

クラウド会計ソフトfreee

クラウド会計ソフトfreee

いま最も多くの人が利用しているといわれているのが「クラウド会計ソフトfreee」です。

2022年現在、38万の事業所が有料プランを利用しているという実績があります。

〇・×を選択するだけのカンタンな仕様やAIによる仕訳サポート、スマホアプリとの連動によるレシート画像の自動読み込みなど、確定申告をカンタンにしてくれる機能が満載です。

発注書や請求書など日々の業務で使用する書類の作成機能も充実しています。

ネット環境さえればインストール不要、年払いなら1か月あたり980円から利用できるという点も嬉しい点です。

クラウド会計ソフトfreeeの公式サイトはこちら

マネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計

ユーザー満足度ならfreeeに引けを取らないのが「マネーフォワードクラウド会計」です。

契約継続率は99%なので、ほとんどの方が一度利用すれば継続して利用していることになります。

明細データの自動取得、帳票やレポートの自動作成、電子帳簿保存法への対応など、確定申告をサポートする機能だけでなくバックオフィスの効率化も期待できるソフトです。

銀行口座やクレジットカードとの連携によって手入力をほぼゼロにできます。

専業フリーランスの方なら1か月あたり980円のパーソナルプランで必要な機能がすべて利用できるので、まずは1か月の無料トライアルから試してみるとよいでしょう。

マネーフォワードクラウド会計の公式サイトはこちら

弥生会計オンライン

弥生会計オンライン

確定申告をサポートする会計ソフトの老舗ともいえる「弥生会計」のクラウド版が「弥生会計オンライン」です。

パッケージ版の国内シェアは断トツの1位で、クラウド版も自動入力・自動仕訳といった機能が充実しています。

税理士や会計士の利用も多いので、これらの士業者とデータ共有を考えているなら弥生会計オンラインの利用がおすすめです。

初期のサポートに特化している「セルフプラン」は年額26,000円とやや高めですが、起業から2年以内なら2年間、2年以上でも1年間は無料ですべての機能を利用できます。

弥生会計オンラインの公式サイトはこちら

最後に

フリーランスの方が節税を目指すなら、確定申告は迷わず「青色申告」を選択するべきです。

事前の届出や日々の記帳などの手間はかかりますが、白色申告と比べると大幅な節税効果が期待できます。

会計や簿記の知識がないと難しく感じるかもしれませんが、フリーランスの青色申告をサポートしてくれる会計ソフトを活用すれば決して難しくはないので、準備を万端に備えて青色申告に臨みましょう。